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連載【スペイン4部リーグの現場から①】

バルセロナの世界遺産、グエル公園から歩いて程なくのところに、スペイン4部リーグに所属するサッカークラブがある。日本で知る人は少ないが、F.C.BarcelonaやReal Madridと並ぶ、リーガエスパニョーラ創設10チームのうちのひとつだ。

「Yoshi, ちょっと手助けしてくれる?」

そのチームのトレーニングをビデオ撮影していたところへ、もう1人の分析担当である若いカタルーニャ人が来てパソコンを取り出した。今季は、相手チームの分析を主に彼に任せることになっていた。

「今から最初の対戦相手の試合映像を見るから、一緒に見て欲しいんだ。」

この、Club Espotriu Europaに所属するのは、1シーズン他のチームを挟んで通算3シーズン目となる。

このカテゴリーで一生過ごし続けるつもりはない私が、このバルセロナのクラブに残ることを決めたのは、今季の昇格にかけているからだ。

今のところ、9戦を終えて6勝3分0敗で1位。なんとか希望通りに事が進んでいる。

「君は誰に分析を学んだの?」

時々彼は、色々と聞いてくる。

そもそも私がサッカーを学び、仕事にする地としてスペインを選んだ理由は、スペインが戦術的に進んでいると聞いていたからだった。

おそらくその情報は的外れではなく、日本語で得られるサッカー情報と比較してもそう思うし、実際にドイツやイギリスの現場にいた人に聞いても、スペインの戦術はレベルが高いと言う。

また、所属クラブの育成部門で数年第二監督をしているベルギー人がいる。ベルギーは今やFIFAランク1位の一流サッカー大国だ。その彼に、なぜわざわざベルギーから移住してスペイン語を学び、スペインの指導者ライセンスをとったのかを聞くと、返ってきた答えはサッカーの解釈と戦術のレベルであった。

そのことは実際に現場に入っても感じることができた。分析官や監督は、試合の映像を直接見て、分析し、判断する。このように、数値化できないプレーヤーやプレーの質の部分を検証・評価する分析を定性分析という。

それに対して、変数を設定し、数値化、定量化して客観的に比較・検証する分析方法を定量分析という。今は映像を扱う技術やコンピュータの処理性能が格段に進歩したことにより、いろんなデータがたくさんとれるようになった。

しかしそれでもなお、その進歩した定量分析は、彼らスペイン人の定性分析を上回っていないと考えていい。つまり現状において、彼らの戦術知識は、データよりも詳細かつ効果的な戦術的解決策を導き出す。

そして我々分析官の仕事は、その戦術決定のプロセスをサポートすることである。

一応、これは声を大にして言いたいことだが、私は定性分析や人間の能力の絶対的な信奉者ではない。むしろ逆で、テクノロジーの可能性、人間の不完全さを信じている方であり、データやAIは必ずサッカーでも役に立つし、いつか人間を超えるだろうと考えている。

そして実際に、データとAIを使った分析方法を開発することを志し、あれやこれやと模索している。(この未来のサッカー分析の可能性については後述したい。)

だが現状では、それを試みて検証すればするほど、その難しさがわかってくる。

では一体、今のスペインの現場ではどのような事が分析に求められ、それが今後どのように変わっていく可能性があるのか。

スペインの現場からの視点の一部を、みなさんと共有していきたい。

[筆者プロフィール]

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